芥川における反復概念

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    94
  • 音質

    芥川龍之介の生誕100年を記念して
    神奈川近代文学館で開かれた
    「芥川龍之介展」での記念講演会。
    音源は主催者から提供を受けたもので
    クリアに収録されている。

  • 講演日時:1992年4月16日
    主催:神奈川近代文学館/神奈川文学振興会 後援:日本近代文学館
    場所:神奈川県立音楽堂
    収載書誌:コスモの本『愛する作家たち』(1994年)




芥川の作品を読み返して改めて感じたことは、
芥川が漱石の影響を被っている度合いは
とても大きいんだなあということでした。
変ないい方をしますと、芥川という人は
「漱石に魅せられた生涯と文学」だなということを
強く感じました。
乳幼児期の不幸な生い立ちという点で、漱石と芥川は
たいへんよく似ていて、
たいへんよく似た気にしかたをしています。
芥川は閲歴についても、作品についても、
漱石という偉大な師を生涯の反復概念の手本にすることを
いつでも意識していたと思えてしかたないのです。
そう意識しながら、
そこからどうやって出て行こうかということが、
芥川にとってとても重要な問題になったんだと
思われてならないところがあります。