『源氏物語』と現代──作者の無意識

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    123
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    「源氏物語を読むなら
    どの現代語訳がいいか?」
    というテーマからはじまる。
    ステージから離れた客席から録音。
    本講演から半年ほどさかのぼる
    1982年10月には
    吉本隆明著『源氏物語論』が刊行。

  • 講演日:1983年3月5日
    主催:山梨県石和町教育委員会
    場所:石和町中央公民館
    収載書:思潮社『白熱化した言葉』(1986年)




『源氏物語』の作者の無意識までも
こちらに移ってくるように、微細な部分まで
作品を読むことができるようになったときにはじめて
『源氏物語』を現代風に読むことができた
ということになります。
本来的には原文を抜きにして
そういう微妙さが伝わる読み方が
できるわけはないといういい方もできそうですけれども、
僕の考え方では、現代語訳でも十分です。
作者と語り手と、登場人物の言動とは
みなそれぞれ違うものなんですよという区別をしたうえで
作品を読まれることによって、
『源氏物語』の現代的な読み方の基本点を
つかまえることができると思います。

チャプター

01 司会 02:07

(1) どの訳本を読むか
02 与謝野晶子訳がいい 09:20
03 具体的に訳本を比べる 08:40
04 微妙な心理の匂いをどう訳すか 10:37
05 与謝野晶子の自在な訳 12:33

(2) どう読むか
06 心の動きをとらえる視線 05:27
07 千年前の作者の無意識 11:34
08 作者と作品のなかの語り手の分離 04:24
09 『源氏物語』を現代風に読む 10:51

(3) 作中の人々
10 内面描写の例──若菜の巻 07:16
11 紫の上の心の動きを描くマジック 09:44

(4) 源氏物語の背景
12 宮廷世界と一夫多妻制 06:43
13 女性文化への転換期 09:05
14 よく涙を流す登場人物 05:09
15 自然を言葉の文法としてみる感性 09:33