文芸批評の立場から見た人間理解の仕方

  • 時間

    44
  • 音質

    「現代における
    精神医学研究の課題」
    と題して開かれた研究会で
    行われた講演。
    テープ劣化がひどく、
    たいへん聞き取りづらい。

  • 講演日時:1973年11月17日
    主催:東京都立精神医学総合研究所
    場所:東京都立松沢病院 4階大会議室
    収載書誌:弓立社『知の岸辺へ』(1989年)




文学の立場というのは、一言でいいますと
「言葉で表現する立場」ということです。
その本筋は、大昔にさかのぼれば〈歌〉にあります。
〈歌〉というのは、2千年とか3千年とか、
そうとう古い時代からあった、韻文──リズムの入った
言葉の表現です。
この〈リズム〉というのは、いまでいえば
神がかりの状況に入ったときに出てくるものです。
文学者というのは、さかのぼってゆけば
神がかりの状況の人間にいきつくわけです。
そうすると、神がかりの状態というのが、
文学者にとって根本的な立場ということになると思います。